ノイズキャンセリング機能|音波の不思議
音波は打ち消すことができる
音というのは、波です。
空気中を伝わって伝わる波のことを音波と呼びます。
空気を震わせることにより、音は伝わってきます。
そして、面白いことに、音は打ち消すことができます。
波形とは真逆(逆位相)の波形を重ねると、プラスマイナスがゼロの状態になるため、音は消えてしまうのです。
また、音そのものを伝わらないように遮断してしまう、という方法も、音を消すための方法としてよく使われます。
ノイズキャンセリング機能
この原理を利用したのが、ノイズキャンセリングという技術です。
方法として、2種類あります(前述の方法をそれぞれの呼び方で言い換えただけです)
パッシブノイズキャンセリング
パッシブ(受動的)というのは、ノイズとなる音波を打ち消す手段としてノイズを物理的な方法で遮ることによっているためであり、ノイズそのものを操作するのではなく、伝わってくるノイズに対してそれを遮断することによって対処する、というイメージになります。
ヘッドホンの場合、余計なノイズが入ってこないようにイヤーピースなどを工夫し、完全密閉状態にするなどの方法が取られます。
アクティブノイズキャンセリング
一方、アクティブ(積極的)というのは、ノイズとなる音波そのものに対して真逆(逆位相)の波形を与えてノイズを打ち消してしまうという方法を取ります。
アクティブノイズキャンセリング機能がついたヘッドホンの場合、ノイズを検知するマイクがあり、そのマイクで拾ったノイズに対して真逆の音波を発生させることによってノイズをなかったものにしてしまうのです。
この機能を搭載したヘッドホンが発売されています。
これらはデジタル技術の為せる技であり、小型な躯体にそんな機能を集約できるようになったというのはやはり技術の進歩の凄まじさを感じざるをえません(ただし、ノイズキャンセリング機能を有効にすると消費電力が多くなるので、電池がやや早めに減っていきます)
騒音対策にも使われている
なお、これらの方法は、騒音を減らすための方法として利用されています。
実際に、トンネルの出口にノイズキャンセリングの原理を利用して騒音を減少させる技術が使われています。
可能性
もしかすると、ですが、この機能を有効に活用できれば、どんなにうるさい環境にあっても人間の活動を広げていくことができるかもしれません。
耳栓とは違って、音を聴きながら必要ない音を遮断できるわけですから、人間の身体器官の一部を補助してくれる可能性が高まります。
実際、作業に集中するのにノイズキャンセリングイヤホンを使用すると効果が高い、と言われます。
時間と空間をより有効に使うことができることになります。
(これはちょっと飛躍しすぎかもしれませんが、人間の能力を拡張する手段として、こうした機械を身体中に身につけていくことが常態化していくことも、未来の人類には十分にありえることなのでしょう)
ノイズキャンセリング機能搭載の製品
有名な製品に、Apple社のAirPodsがあります(価格はAirPodsProでおよそ3万円)
iPhoneなどApple製品との接続が容易であり、ノイズキャンセリング機能も効きますし、しかもワイヤレスです。
また、Siriにも対応しています。
収納ケースには充電池が内蔵されており、イヤホン本体を充電しながら収納することができるようになっています。
国内メーカーの製品として、ソニーの製品を紹介しておきます(こちらは2万6000円ほど)
Appleとの違いは、充電性能の違いと、音質、製品の形状です。
急速充電に対応しているほか、電池は長寿命化が図られています。
さらに、ハイレゾにも対応し、失われる音を補完する機能を搭載しているほか、付け心地にも配慮されています。
VGP2020 SUMMER ライフスタイル分科会 金賞受賞