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大林宣彦の世界|理想の中に映画がある

 映画監督 大林宣彦

2020年4月10日、映画監督の大林宣彦さんが亡くなりました。

82歳でした。

 

大林監督は、自主制作映画(つまり、アマチュア作品)を行っていたところ、仕事としてCM制作をするようになり、商業映画も手掛けるようになった、という経歴を持っています。

 

それまでの映画というのは、大手の映画制作会社が取り仕切っていた部分が大きく、そこに所属していないと映画は作れないような状況です。

 

大林監督は、そうした流れとは別のところで映画を撮った人です。

 

いわば、手元にある機材を使って映画を作っていたアマチュアから出発した、それまでの映画の作り方とは違う方向から映画を作った人です。

 

これは(現在のYoutubeがそうであるように)誰でも映像を発信することができる、という時代から見れば珍しいことではありませんが、当時としては異色の映画監督でした。

 

映画の大衆化

映画は、作ろうと思うと莫大な予算をかけなければ作れないものでした。

 

しかも、映画はプロが作るもの、というのが常識のような時代です。

 

ところが、8mmフィルムという、当時でいう家庭用の機材を使用して、映画を作ろうとする人たちが出てきます。

 

大林監督も、その1人でした。

 

マチュアがプロと肩を並べる、という現象が起きた背景には、機材の性能が上がり、価格が下がったこと、それによって誰もが映像を作る側に回ることができるようになったこと、それまで崇められていた存在だった映像メディアが大衆化したことなど、様々な要因が重なっているかと思います。

 

そんな中で、「映画を作りたい」という強い意思さえあれば、映画を作ることは不可能ではない、ということを、大林監督は身を以て体現していたのではないか、と思います。

 

もちろん、現在の状況と当時はだいぶ違うので、先頭を切って新しい道を拓こうとすることは多くの困難が伴ったと思われます(実際に、映画界での助監督の経験すらない大林氏に対する既存の映画界の反発が存在していて、制作が妨害された事実もあった)

 

ですが、そうした人々がいたからこそ、現在、アマチュアでも映像を発表したりすることができる環境が生まれたのだ、とも言えます。

 

なお、その流れに大きく寄与したのは、テレビメディア(大林監督は元々はCM制作を仕事にしていた)だったようです。

 

映画とは違う、新しいメディアだったテレビから、逆に映画に乗り込んでいった、ということになるでしょうか?

 

個人的映画

なお、映画は多くの人が関わらないと出来ないものです。

 

その中にあって、それまでの映画の作り方のシステムではない、いわば「個人の映画」の世界から映画を作った大林監督の映画制作スタイルは、やはり、個人作品的趣向とは切っても切れないものなのではないか?と思われます。

 

個人的価値観をもとに作ったものに対して、そのセンスを問う、という方向性は、音楽におけるシンガーソングライターであったり、現在のSNSの傾向にも似ているような気がします。

 

大林作品の特徴

大林作品は、どこか理想主義的な雰囲気が漂っています。

 

どこか古典的とさえ言えるまでの「美しい」ものへの憧れ、古典的恋愛小説のような理想主義が貫かれているような気がします。

 

アイドル映画、と評されることも多い大林作品ですが、そこには一瞬しかない、そして永遠でもあるかのような若々しさ、人間の理想が映像として切り取られていると思います。

 

根底には、人間に対する愛情、博愛が強くあるのだと思います。

 

私がおすすめする作品

私がオススメしたいのは、「ふたり」です。

 

この作品は、日本映画の名作の中でも10本のうちの1本に入るのではないか、と個人的には思っています。

 

この映画は、1人の少女の成長が、叙情的に描かれている作品です。

 

なお、ストーリーだけをみると、実際は不幸な映画かもしれません。

 

愛する者を失った悲しみから立ち直ろうとする、人間の強さ、美しさ、それが表現されています。

 

見終わったとき、映像として永遠に残された「個人的記録」とでもいうべき「古い写真アルバムをめくるような懐かしさ」が残る、大林作品のなかで1番の傑作だ、と思います。

 

 

大林監督のご冥福をお祈りします。